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令和元年水俣病犠牲者慰霊式

  • 2019.10.19
    10月19日,雨天を心配された空も晴れた午後,水俣湾埋立地の水俣病犠牲者慰霊碑の前で800人余が出席し,慰霊式が行われました。例年公式確認の日とされる5月1日に行われていますが,今年は改元と重なったため,延期されていたものです。
    慰霊式では,上野エイ子さんが,遺族を代表して祈りのことばを述べました。上野さんは,2歳半で亡くなった長女に「死んでしまった良子,お前は今でも寝たままなの」と呼びかけました。この間に父や夫を水俣病で亡くしていた上野さんにとって,耐え難い時期を思い返すものだったと思います。会場のあちこちですすり泣きがもれました。



    (祈りの言葉を述べる上野エイ子さん)

    慰霊式では,出席者全員で黙とうし,この間,水俣市内の防災無線などでサイレンが鳴らされ,そのあと参列者全員が献花しました。高岡水俣市長が式辞を述べ,小泉環境大臣,蒲島熊本県知事,木庭チッソ社長と水俣の小学生が祈りのことばを述べました。
    合唱団みなまたの重厚な歌声が式をリードする中,厳かな慰霊式となりました。



    (祈りの言葉を述べる、小泉進次郎環境大臣)

    慰霊式終了後,1時間にわたって患者団体と小泉進次郎環境大臣の懇談が持たれました。
    水俣病不知火患者会の岩﨑明男副会長は,全面解決にむけ,政治が主導権を発揮すべきとし,また,大臣自身が時間をとって,現地にきて視察し,被害者の声をじっくりと聞いてほしいと要請しました。ノーモア・ミナマタ第2次訴訟原告団の森正直団長は,1700名が3つの裁判所で裁判をしていることを紹介しました。この裁判の中で,国・熊本県が提出した資料で,熊本県・鹿児島県の認定審査会が水俣病の症状を認める者が,公健法上の「対象地域」外に多数存在することが明らかになったことも紹介しました。国や熊本県の資料そのもので公健法上の線引きの誤りが示されたものだ,と指摘し,健康調査を速やかに行うよう求めました。
    これに対し小泉環境大臣は,環境省は水俣病をきっかけに設置されたことを強調するものの,要請については持ち帰って精査すると述べただけでした。肝心の要請に対して新環境大臣の見解を聞ける場だと考えて出席した被害者らは,小泉環境大臣の,内容はないと評価せざるを得ない言葉に落胆しました。
    次回の慰霊式は、例年通り来年の5月1日に行われる予定です。次回、小泉環境大臣が水俣を訪ねるときが正念場だと考えています。

水俣病不知火患者会