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第13回弁論期日(東京)

  • 2017.05.24
     本日,東京地裁で,第13回弁論期日が開かれました。
     この日の期日は,裁判官が交代したため,これまでの主張を整理してまとめて述べる「弁論更新」の手続きとして行われ,まず原告の主張から行われました。
     弁論期日では,原告を代表して熊本県天草市姫戸町二間戸生まれの井手口明美さんと鹿児島県出水市高尾野町江内生まれの徳田昭博さんが,生い立ちと被害実態を訴えました。
     井手口さんは,幼い時は船上で生活しており,水俣沖でとれた魚介類をおかずとしてよく食べていたこと,手の感覚が鈍いために,しっかり握ったつもりの包丁を子どもの近くに落としてしまったことがあること,最近はペットボトルのふたも開けられなくなったり,顔を洗う水を手でうまくすくえなくなっていることなどを話しました。
     徳田さんは,「水俣のおばさん」と呼んでいた行商をしていた親せきから魚介類を買って食べたこと,そのおばさんが水俣病の行政認定をされて亡くなったこと,水俣病は他県の話で関係ないと思っていたが,歯医者に行ったときに検診のポスターに書いてあった症状が自分に当てはまっていたので「ひょっとして」と思ったこと,病院で精密検査を何度も受けたのに原因がはっきりせず,手術も受けたのに症状が改善しなかったこと,年に何度も転倒するため転んで死んでしまうのではないかという切実な恐怖を感じていることを訴えました。
     またこの裁判の意義と争点の総論を齊藤園生弁護団事務局長が,曝露(有機水銀を摂取したこと)を和泉貴士弁護士が,病像(水俣病の健康被害)を遠藤健一弁護士が,因果関係(有機水銀を摂取したことによって健康被害が発生したこと)を東圭介弁護士が,それぞれ分担してこれまでの原告の主張を端的にまとめて説明しました。
     この日の期日のあとの進行協議で,裁判長は,4月に提訴した第5陣原告(9人)を第1陣~第4陣原告と併合審理しないことを明言しました。まだ総論の主張立証も尽きていない段階で原告を分離審理することは訴訟経済にも統一的紛争解決にも反しますが,裁判長は自分の部の未済事件を減らすことを優先させたのです。第5陣の審理予定については未定です。
     次回期日は,7月19日(水)15:00~,東京地裁103号法廷で行われます。この期日では,被告国・県がこれまでの主張を要約して述べます。
     また傍聴券の抽選が行われる見込みなので,傍聴希望者は14:20迄に東京地裁正門前抽選場までお越しください。
     なお原告は14:00から東京地裁前で決意表明など行います。また裁判終了後には裁判内容を解説などする報告集会を行います。あわせてご参加ください。

    (門前集会の様子)



    (報告集会の様子)



水俣病不知火患者会